比較に入る前に、まず訂正しておきたい。既存のシミュレーションソフトウェアには、私がこれまで一般に欠けていると考えていた機能がすでに備わっている。

  • 説明と探索のガイド。 STELLAでは、モデルの構造を段階的に示し、その構造を挙動と関連づけ、インタラクティブなインターフェースを公開できる。En-ROADSは、実行可能な気候モデルを使い、グループで政策、技術、経済のシナリオを試すために利用されている。
  • モデルの共同開発。 AnyLogicは、Gitを使ったワークフローと、開発者間の競合を減らすことを意図した複数の部分からなるモデル形式に対応している。Simulinkは、モデルの構造を踏まえた比較、コードレビュー、3方向マージを提供している。
  • トレーサビリティとテスト。 SimulinkのRequirements Toolboxは、要件をモデル、コード、テストに結びつけ、抜け漏れを検出し、変更によってどの成果物が影響を受けるかを示す。Vensimは、構造分析、キャリブレーション、単位の整合性チェック、モデルのテスト、挙動に関する制約に対応している。
  • 複数のモデリング手法。 AnyLogicは、システムダイナミクス、エージェントベースモデリング、離散事象シミュレーションを一つの環境に統合している。Simileは、モジュール化されたサブモデルに対応している。Topos InstituteStockFlow.jlは、単に複数の図を一つのファイルに配置するのではなく、形式的な合成に取り組んでいる。

それでも、二つの問題については、根拠が十分にあるように見える。第一に、異なる形式体系やツールで作られたモデルを確実に合成することは、依然として難しい。第二に、研究全体を通した情報の出所や経緯は、通常、論文、インタビュー、データセット、スプレッドシート、モデルファイル、実験結果、要件、意思決定、そして後から作られる説明に分散している。あるツールが、そのワークフローの一部分で情報の出所や経緯を扱えても、全体を通じた論証のつながりまで保持できるとは限らない。

ほかに不足しているとされる点は、まだ問いであって、確認できた事実ではない。現在のツールが、技術的な専門知識を持つ参加者と持たない参加者による共同レビュー、同じ証拠に対する競合する解釈、あるいは継続的に維持・更新する一つの対象を分析、運用上の意思決定、一般向けの説明に共通して使うことを、どの程度支援しているのか、私にはまだわからない。

次に役立つのは、機能一覧をさらに広げることではなく、一つの実際のワークフローを比較することだ。問題の定式化、証拠、実行可能なモデル、実験、意思決定、説明という各段階で、それぞれのツールがどのような成果物を作るのかを記録し、そのうえで、段階の間で何をコピーし、何を再構築しなければならないのかを記録する。そうすれば、より範囲を絞った問いに答えられるだろう。新しい思考環境が必要なのか、それとも、すでにある機能をつなぎ合わせて提示することのほうが有用なのか、という問いだ。